2)液晶による実験


 経絡上の諸経穴に電極をおいて刺戟を与えて諸経穴での電気的反応をみた経絡テストでは,経絡の走向を可視的に捉えることは難しい.そこで経絡に沿うて線状あるいは帯状に皮膚温が変化するのであれば,経絡の走向を液晶を用いて可視的に捉えられると思い,手の各経絡について実験をしてみた.

(1)方法
(1)前腕部の皮膚温をサーミスタで測定、例えば29℃の皮膚温が得られたら,29〜31℃ の変化に対応して色が変わる液晶を選ぶ.
(2)前腕の手首5cmほどのところから約25cm上方の辺(肘の近く)まで,まず墨を全体に塗り,乾いてから上述の液晶をムラなく一面に塗る(写真1).
(3)手の陽明大腸経の原穴に熱刺戟を5〜10分与える(写真2).

(2)結果と考察
 2〜5分の間に大腸経に沿うて帯状に液晶の色が変わる(グリーンに変わる)(写真3).これは大腸経原穴(合谷)を熱刺戟したことによって,大腸経に沿うて体液の流れの温度が1〜2℃上昇したことを示す.
 各経絡の走向は必ずしも血管の走向と一致しないが故に,この経絡に沿うての皮膚温上昇は,経絡に相当する体液の流れの皮膚温上昇と考えられる.

(3)結論
 液晶による実験によって,経絡の走向が可視的に確かめられた.この実験結果から,経絡は体液の流れと推測しうる.

〔補追〕写真6は,腕全体の温度が高いので,手関節外側部を冷やすと静脈の部分が温度が下がり,静脈の走向がみえたもの.
 この液晶によるテストは,すべての人で成功したわけではない.ある人では、手全体の温度が高いので,手関節外側を冷やすと,静脈の血管のみが血管の太さだけ温度変化(下がる)を示した.これは心経と部分的に一致がみられるが、上述の実験結果とは違って帯状ではない.又、刺戟をしてもしなくても,初めからその血管部分のみ他より温度が高いことが示された場合もある.
 又、同一人でも,常にいい実験結果が得られるとは限らず,日光に当たった後ではいい結果が得られ,曇りの日では温度変化がみられなかった.これは経絡と日光との間に何か関係があることを示す.